住宅の火災保険料や自動車保険料の契約更新時などに、値上げを実感している人が増えています。
弊社では火災保険などの代理店業務も行っていますが、代理店側としてもかつてと比べて火災保険料は高くなったと感じます。火災保険料を抑えるために契約内容を見直す場合、必要な補償まで外してしまうとリスクへの備えが手薄になるので注意が必要です。
都内に住むある会社員Aさんは「マンションの火災保険の契約更新で提示された(1年あたりの)保険料は、地震保険を含めて以前の3倍だった」と語ります。これまで1年間の保険料は約1.5万円でしたが、新たな提示額は約5万円/年でした。保険料を下げるため、保険会社の変更を含めて検討中だそうです。
火災保険の保険料は、損害保険各社で構成する損害保険料率算出機構が示す「参考純率」が目安となります。そこに損害保険各社が必要経費などを踏まえて、実際の保険料を決めます。損害保険料算出機構は2023年度に参考純率を全国平均で13%増額しました。2014年度以降では5度目の引き上げで、期間合計で約4割の上昇となりました。
近年の火災保険料の値上がりには、複数の要因があります。1つは自然災害の増加です。自然災害による被害が増えて保険金の支払いが膨らみ、保険料への転嫁に繋がっています。
2つ目は契約可能な期間の短縮化です。火災保険は通常、契約期間の長い方が1年あたりの保険金が安くなることが多く、2022年まで最長で10年間の火災保険の契約が出来ましたが、現在は最長5年です。
Aさんのケースでも従来は10年間の契約でしたが、5年間に短縮されたことも値上がりの要因となりました。私が20代の頃は最長30〜35年程度の火災保険の商品がありましたが、現在は最長5年となりました。
3つ目は物価高です。火災保険の保険金額は、損害が生じた時に新たに再建するのに必要な金額(再調達価額)を設定するのが一般的で、近年の建築資材や人件費の上昇で再調達価額も上がっています。Aさんのケースでも従来の建物部分の再調達価額が1600万円でしたが、更新時は2200万円と見積もられていました。
これらの状況を鑑みると、保険料の値上がりは今後も続きそうです。
火災保険は住居や家財に損害が生じるリスクに備えるもので、日常生活を守るのに必要と考える人は多いと思います。保険金額を引き下げたり、水災補償など補償内容を減らせば保険料は下がりますが、万一の際に生活再建が困難になる可能性があります。
地震を起因とする火災は火災保険で補償されないので、地震での火災で補償を受けるには地震保険が必要になります。従いまして、火災保険とセットで加入していた地震保険を外すことには、慎重な判断が必要だと思います。
補償を減らさずに保険料を下げる方法はいくつかあります。
1つは免責額の設定です。損害が発生しても一定額までは自己負担に設定すると保険料が安くなります。例えば、20万円までの損害は自己負担するとした場合、大手損保では保険料が1〜2割程度下がることがあります。
長期契約で保険料の支払いを一括にするのも一案です。最長の5年契約で一括払いにすると、1年契約の月払いよりも総額の保険料は安くなります。5年分の一括払いが難しい場合は5年契約で年払いにすると、5年総額でみた負担は単年契約よりも抑えられます。
他に契約する保険と重複する補償を外すのも有効です。自動車保険で個人賠償責任補償に加入していて保証金額が十分であれば、火災保険では付ける必要はないと思います。
その自動車保険でも、2026年度は大手損保を中心に6〜7.5%程度の値上げとなります。無事故であっても更新時に保険料が上がる可能性があります。
自動車保険の値上がりの構造も火災保険と似ています。自然災害の増加で台風による水没や、ゴルフボールくらいの大きな「ひょう」が落下しての車両被害も増加しています。
そして、修理費も高額化しています。中東情勢からくる塗料・シンナーなどの高騰に加えて、衝突軽減ブレーキや先進安全運転支援システム(ADAS)などの普及により、バンパーなどにセンサー(掲載写真)が付けられるなどで部品価格が上昇しています。衝突軽減ブレーキやADASなどの普及で軽微な接触事故数は減っても、いざ事故が起こってしまうと強烈な衝突となってしまい、損傷が大きくなりやすいことも影響しています。
人件費も上昇しており、火災保険と同様に損害保険料率算出機構が示す参考純率も上がります。運転する人の年齢や条件が現状に合っているか確認して運転者条件を最適なものに見直したり、可能であればクレジットカードでの一括払いを利用してポイント還元を受けたりするなどの工夫で、少しでも負担を抑えられる手段を探って上手く乗り切りたいです。

株式会社アドワン・ホーム 代表取締役
古田 晋一
宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者
新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞(全社1位)をはじめとして住友林業グループ表彰(年間全社3位以内)を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。
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