2025.08.06 マンション その他 購入・売却 代表ブログ その他

千代田区のマンション転売規制

千代田区マンション転売規制転売禁止条項不動産協会投資目的

東京都千代田区が2025年7月、大手不動産会社などが加盟する不動産協会に、投機を目的とするマンション取引の防止に協力するように要請しました。不動産デベロッパーなどに対して、購入者に5年間の転売を禁止する条項の導入などを求めます。

 

都心部の不動産価格の高騰や需給ひっ迫が続いていることから、投資目的ではなく居住目的の消費者が購入しやすい環境の整備を目指します。今回はこの千代田区の転売規制の要請について書きたいと思います。

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千代田区は市街地再開発事業で販売するマンションを対象に、購入者に引き渡しから5年間の転売を禁じる「転売禁止条項」を導入することを求めています。また、同一マンションの複数の部屋を、同一名義で購入することについても禁止するように要望しました。

 

都内の自治体が不動産業界に対して、不動産価格の高騰などを理由にマンション転売の制限を要請するのは初めてのようです。千代田区は国に対してもマンションの短期間での転売を対象に、譲渡所得税の引き上げを要請する方針です。

 

不動産経済研究所によれば、2025年1〜6月に販売された首都圏の新築マンションの平均価格は、前年同期比17%上昇して8958万円でした。東京23区では20%上昇の1億3064万円となり、千代田区や港区など都心部ほど上昇率が高くなる傾向が顕著です。

 

東京都も転売対策に動き出しています。市街地再開発事業で都が施行したマンションを事業者が販売する際に、投資目的の購入を防ぐ措置を取るように要請する方針です。

 

一部の大手デベロッパーでは転売規制を始めています。住友不動産は2物件で転売禁止特約を独自で付しました。野村不動産は今後の販売方針として「購入機会が偏る状況などがあれば制限も検討する」とのことです。

 

一方で不動産協会は身構えています。不動産協会の理事長(三菱地所の会長)は7月下旬の記者会見で「合理的な規制なのか疑わしい」として、千代田区に更なる説明を求めました。

 

マンション高騰を巡っては国土交通省が取引の実態を把握する為に、不動産登記情報を使った調査に乗り出しました。千代田区も法務局から登記簿を取り寄せ、更にデベロッパーからヒアリングをして独自の調査を行いました。

 

千代田区の調査結果では、国内だけでなく海外からの投機目的と思われる取引が見受けられました。国内外から短期間の転売が散見されたのです。建築コストや人件費も上昇しており、当面は値下がりする気配は見えない状況で、高騰を抑制する為に千代田区は不動産協会に転売対策を要請しました。

 

「条例を制定」して法的義務を課せば財産権の侵害となりかねない為、不動産協会に「要請」という形式にとどめました。「要請」ですので応じるかどうかはデベロッパー次第ですが、今回の転売規制の対象は再開発事業で販売されたマンションなので、千代田区から補助金を交付したり容積率を緩和したりする場合に対象が限定されます。

 

そういう意味では今回の「要請」でどこまで効果があるのか、他の自治体も追随するのかなどに注目したいと思います。

古田 晋一
この記事を書いた⼈

株式会社アドワン・ホーム 代表取締役
古田 晋一

宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者

新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞(全社1位)をはじめとして住友林業グループ表彰(年間全社3位以内)を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。

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