区分所有法に基づき分譲マンションの所有者全員でつくる組織の管理組合。分譲マンションごとに組織されており、全国に10万以上あるとされています。建物や敷地の保守、生活していく上でのルールの策定、長期修繕計画の作成などを手掛けています。
住人から選ばれた複数の理事と監事から構成される理事会が実務を担います。大半の管理組合は一部(又は全て)を管理会社に委託していますが、味方だと思っていた管理会社から切り捨てられる管理組合が増えてきました。
食品や製品などの値上げのニュースが頻繁に流れるご時世になり、値上げに慣れてしまった人も多いかもしれませんが事情が異なったようです。

「人件費が高騰しており、値上げに踏み切らざるを得ない状況でございます」と、丁重な文面で書かれた書面には、管理委託費を1戸あたり月額6万円引き上げるという管理会社からの要求が書かれていました。都内にある約20戸の小規模マンションの管理組合に届いた書面です。理事長の男性は「1戸あたり3000円程度なら許容出来なくもない」と考えたようですが、管理会社の要求はその20倍の6万円。値上げに慣れてしまった人であっても、ビックリするほどの上げ幅です。同時に示された「3年から1年に」という契約期間の変更提案に、理事長は「管理会社はうちを切り捨てようとしている」と感じたようです。
別の小規模物件(都内・6戸)の住人男性は「長年頼ってきた管理会社から昨年、突然解約を告げられた」と語り、新たな委託先は決まっていないとのことです。
管理会社から管理費の引き上げ要求は全国で相次ぎます。主な理由は人件費や資材費の高騰です。2025年7月にある不動産会社(VSG不動産)が約1000人のマンション住人を対象に実施した調査では、過去3年以内に管理費を値上げされたと答えた割合が47.9%に上りました。
管理会社にとって管理組合は大切なお客さんですが、管理会社から一方的に契約を打ち切るケースも目立ってきました。固定費に対して戸数が少ないと利益を生みにくい為で、大手管理会社の担当者は「40〜50戸が採算ライン」と明かします。
国土交通省の5年毎の調査によりますと、分譲時から管理会社を変更したマンションは2023年度調査で全体の24.5%で、10年前と比べると6.2ポイント上昇しました。1974年以前に建てられた古い物件では半数以上に上ります。
ゴミ出し、清掃、植栽の手入れ、設備の保守点検など、担い手を失った時から様々な問題が噴出します。住人の高齢化が進むマンションでは自主管理で運営する余力が乏しく、管理不全に陥ると資産価値にも影響してきます。
高額な管理委託契約か、低コストですが手間が必要な自主管理の二択ではなく、外注する業務を圧縮し自力で担えない分野を外部に委ねる手段も出てきました。自主管理マンションを対象に、管理費滞納者への督促業務など住人同士では扱いにくい会計業務に特化した代行事業を行うサービスもあります。
欧州では築100年超でも管理の力で資産価値を高めている物件もあり、管理組合の運営次第で分譲マンションの価値が大きく変わってきます。理事長や理事・監事などの役員だけでなく、一般的な住人(管理組合員)も意識を高く持ち長寿命化に対応することが求められそうです。

株式会社アドワン・ホーム 代表取締役
古田 晋一
宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者
新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞(全社1位)をはじめとして住友林業グループ表彰(年間全社3位以内)を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。
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