今秋、高市政権に変わり物価高対策として推奨している「おこめ券」ですが、賛否が渦巻いています。
「有り難い」という市民の意見も聞かれますが、新聞・ワイドショー・週刊誌などでは書留郵便で発送するなどの手間や費用がかかり、「費用対効果が悪い」などと記事や特集などで取り上げるメディアもあります。また、配布を担う自治体の一部からも反発の声が出ています。
今回は「おこめ券政策」について書きたいと思います。

石破前政権から高市政権へ2025年10月21日に移行され、それに伴い農林水産大臣が小泉前農水大臣から鈴木農水大臣にバトンタッチされました。その鈴木農水大臣が打ち上げたのがおこめ券政策です。
石破前政権では「高騰したコメ価格を下げる」として小泉前農水大臣は政府備蓄米を放出する陣頭指揮をとり、備蓄米を5キロ2000円程度で流通させるなど、私達の目に見えるかたちで4000円台に高騰していたコメ価格は落ち着いていきました。
鈴木農水大臣は就任当初から「コメ価格を下げる為の備蓄米の放出はしない。コメ価格は市場原理に委ねる」旨の発言があり、私は「あれっ、風向きが変わったなぁ」と感じていました。
検索してみると、鈴木農水大臣は元農水官僚で自民党農水族だったので、「なるほど」と感じました。徐々にコメ価格は上がっていき、足元では少しだけ下がっている統計値となっていますが、まだ高止まりしたままとなっています。鈴木農水大臣は「洋服価格が上がっても、普通は行政は価格に介入しないので、それと同じ」という、コメ価格にコミットしない旨の発言をしました。それについて、石破前総理は「コメは主食で洋服と同じではない」「食糧自給率を上げる為に流通を増やすべきだと思う」という旨の発言をしており、私としても「石破前政権と高市政権は同じ自民党中心の政権が続いているのに、これだけ真逆の政策になるのか」とビックリしています。
コメ価格にコミットしないのであれば、仮にコメ離れなどによってコメ価格が急落しても、安くなったコメ価格を放置しておくのかと思ったりもします。
このおこめ券はコストが高いことが問題視されています。小売価格が1枚500円で流通しているのですが、440円分のコメしか買えません。掲載写真のおこめ券の右下に「440」という数字がありますが、440円分の意味を指します。額面の12%にあたる60円は印刷代・流通経費・発行元の利益などに充てられます。
おこめ券は2種類あり、発行元の1つは全国米穀販売事業共済協同組合(全米版)でもう1つはJA全農です。そのようなこともあり、JAはおこめ券政策に大賛成しています。
今まで流通していたおこめ券は有効期限がありませんが、配布予定のおこめ券には有効期限の設定と転売禁止の明記を求める方針です。今までと異なるおこめ券を流通させる予定なので、発行元の2団体も苦慮していると報じられています。
また、おこめ券は12%のコストが発行元に流れるのは高いと感じます。図書券や百貨店共通商品券なども印刷代や流通経費はかかりますが、額面と小売価格は同一だからです。但し、ビール券・清酒券などは額面と小売価格は異なっており、おこめ券と同様に利益などが発行元に流れるようです。
また、おこめ券はコメしか買えない訳ではなく、小売店の裁量に委ねられている場合が多いです。例えば量販店のドン・キホーテでは雑貨・食品・酒類など何でも買える上、額面を下回る買物をしてもお釣りが出ます。
おこめ券政策は必ずしもおこめ券を配布しなければならない訳ではなく、交付金を自治体に交付した上で自治体の判断となります。おこめ券を配布する自治体もありますが、静岡市や北九州市、東京都江戸川区、大阪府交野市(かたのし)は採用しない方針で、これらの自治体では給食費無償化や現金給付や上下水道の基本料金免除などに充てる方向です。福島県知事も「県内の多くの自治体はおこめ券の配布はしないと聞いています」という旨の発言をしています。
上下水道の基本料金免除なら経費率が約1%とかなり低くなり、12%の経費(加えて書留料金・発送経費・職員の残業代など)が目に見えているおこめ券との差は大きく、交付金を有効的に還元出来る手段が良さそうに感じます。
このような中、鈴木農水大臣の記者会見でも複数の記者から「JAへの利益誘導ではないのか」「おこめ券配布は鈴木農水大臣が独自の発案か」などという趣旨の質問が相次いでおり不信感が高まっているようです。
NHKが12月5日〜7日に実施した世論調査(電話で1192人が回答)ではお米券政策は「効果がない・70%」で「効果がある・20%」と大差となりました。
おこめ券はどれくらい配布される見込みなのかも気になるところです。まだ確定ではありませんが、1人あたり3000〜4000円程度と言われていますが、それでは5キロ袋も1つも買えません。
さて、皆さんがお住まいの自治体は、どのような物価高対策となるでしょうか。効果的な対策なら良いですね。

株式会社アドワン・ホーム 代表取締役
古田 晋一
宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者
新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞(全社1位)をはじめとして住友林業グループ表彰(年間全社3位以内)を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。
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